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あの場所で見つけたもの

  • 5月21日
  • 読了時間: 4分

重い荷を抱え、それでも歩みを止めない人へ一杯の温かいコーヒーを。


猫とコーヒー

横浜こども医療センターのNICU(新生児集中治療室)にはピアノが設置されており、誰でも自由に演奏できるというニュースを先日見かけました。


毎週金曜日になると、医師や看護師、そして入院している赤ちゃんの家族たちが代わる代わる音を紡いでいるそうです。


NICUの張り詰めた空気の中にピアノの音が優しく響く光景を想像してみました。


現場で命と真摯に向き合うスタッフや、回復を願って付き添うご家族には、きっと気持ちが癒される時間になっているだろうなと思います。


そしてその病院に関するもうひとつの出来事を思い出したので、10年前に書いた文章を以下に貼り付けます。この話もピアノのことも同じところに行きつくからです。ボランティアで預かっていた犬が譲渡先から脱走し、毎日歩き回って捜索していた時のものです。


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横浜市南部は目撃情報が多い地域のひとつです。


私はそこをしょっちゅう歩き回っているおかげで、「幸か不幸か」と言うか「不幸中の幸い」と言うか、ところどころでささやかな「和み」も見つけたりします。


人々の温かい気持ちはもちろん、夜明け前の空に浮かぶ白い三日月や、晴天の神社の境内で豊かに香る沈丁花の花、あるいはお腹が空いて立ち寄ったパン屋さんの焼き菓子がびっくりするほど上出来だったり。


目撃情報はどういうわけか急な傾斜の住宅地ばかりで、徒歩で追う方はたまったものではありません。


寒いし、捕獲道具や大量のチラシなどで荷物もとても重いので、足腰はもちろんですが肩と背中がガチガチになります。


そして小高い場所の住宅街って、荷物を置いたり腰を下ろす場所はまるで無いことがほとんどです。コンビニはおろか公園すらも意外と無い。


寒くてつらくて、3分間でいいから暖房のある場所に入りたいとしばしば夜道で願いました。


でもつい先日見つけたのです。丘の上の、例によって何もない住宅街の中に小児専門の大病院があり、そのロビーの一角にTully'sコーヒーが支店を構えていることを。


このありがたさは尋常ではないのです。コーヒーショップって「心の支え」になる時がありませんか?気持ちを休めたり、スイッチを切り替えたりできる場所。


さらにこれが小児病院にあるというのがまたすごいと思いました。


例えば、重い病気のお子さんを持つお母さん。子供には涙を見せず、周囲にも元気に接して。だけどやりきれない思いや疲れでいっぱいの時もあるでしょう。


そんな時、ちょっと一人になって温かい物を飲み、つかの間くつろげる場所があるのはきっと救われることでしょう。


他にもお医者様や、お母さん待ちのお父さんと(患者の)兄弟たち、面会に来た家族と車椅子の女の子など、いろんなお客さんがいました。


みんなそれぞれ苦しみや悲しみを抱きながらもちゃんと前を向いて歩いているんだなあ。と感じ、おまえもしっかりしろと励まされた思いがしました。


そしてもう一つ見つけた物があります。タリーズには独自の絵本大賞があって、毎年入選した作品を実際に発行・販売しています。


その中に、はしもとみおさんの「神様のないた日」という1冊があります。


ずーっと以前、カフェラテ待ちのカウンターで何気なくそれを手に取って最後まで読み、人のわんさかいるその場所で大泣きしたという恥ずかしい過去があります。


主人公である猫のシンプルな美しい生き方に胸を打たれて。


そして店員さんと「いいですよねー!」と手を取り合わんばかりに言い合って1冊購入しました。


お世話になった恩人にプレゼントしたのですが、やはり自分の手元にも置きたくて、もう1冊買いに行きました。でも売り切れ。


以来ずっと何年も、支店見たら訊ねて探していましたが、どこも完売で、増刷の予定も無いとのこと、もう入手はできないとほぼあきらめていたものです。


それを今になって、この陸の孤島のような支店で2冊見つけました。


本当は2冊とも買占めようと思ったのですが、誰かと分かち合いたくて1冊だけにしました。


後に残ったもう1冊を手に取る人が、その本から明日への力をもらえますように。






 
 
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